蝉。
泣くを惜しまれるは蝉だけ…か。
勇気を「振りしぼる」とはよくいったもんだ。まさに無いものを搾るのを体感。搾って一滴でた勇気で前へ。もう気分とは裏腹に足を差した感じ。この左側は進入禁止区域の看板。火サス度、大。
帰れるかおっかなくて動悸がした。肝がちいさい。
旅とは「楽しむ」に止どまらず、「経験すること」だったことを思いだした。
椎名誠さん、やはり素敵な人だ。講義に入るか入らないかのところで、「ちよっと寒いね」と…流すだけでなく、すかさず冷房を弱める指示を出してくれた。こういう、さも出来そうだができないひと手間、心配り。常に判断力を求められる状況にその場その場対応してきた姿を、こんなところにも垣間見るた気がした。そして、暑くなったら自らが上着を脱いでTシャツになってくれた。講演する側は話に熱が入るにつれて暑くなっていくことは始めからご自身百も承知のはず。私にはちゃんと「(座って聴くには)ちょっと寒いですね」と聞こえましたよ〜。ちょっと遠くのことに対して気遣える心の柔軟さ、こっちからみると逞しさに見える。
講演後私は、握手を乞うた。だって世界の辺境にいってあらゆる困難を寛大に受け入れたことのある「身」とはどういうものか、触れてみたかったんだもん。手の平ゴツゴツしているんだろな、という予想とはまた違った感触だった。私は、恥ずかしくて1秒と握っていられなかったけど。
この身にはいっぱい傷が付いているのだろうな。苛酷な暑さ寒さ、渇きに耐えた身。冒険という欲望に駆られる身。オ〜、神聖なものに思える。
だから、そこに宿る精神にも触れたてみたくて言葉をひらり遣わせてみた。返ってこなかったらやだな、とおそるおそる、よれよれ声で。
人にサインを乞うたの、これが初めて。今後の励みにしたいので、筆入れに。
でも、
迷っても私のとこへは戻って来ないね。
賢い犬。
どうやら人恋しさは、解消されることはないみたい。つのるいっぽうだ。心にあふれた川を片手でせき止めておいて真面目を通すばかりも能がないのではないか。その負荷の苦しみで安堵しているだけかもしれない。集中力も萎えて、だから進まない?
あつこは私にとって花である。テーブルの向こうに、近頃は姿勢を正して座る。南国に咲くような、大きめの色濃い花。
そう、彼女は淡くはない。そこがいい。
やはり生活に彩りは大切だ。あつこに会うことは色をとり入れること、それに等しい。
その花の大きさは、その笑顔のもたらす幸福感の大きさに等しい。
あつこぉあつこぉ…と、あつこの旦那に申し訳ないほど、内なる声で連呼している。オムライス食べに行く約束のことや、「今日あつこんち‘カレーの日’だったら食べに伺いたいんだけど、違う?」といった妄想をしつつ、妄想にとどめ、帰路についた。また後日にしよう…。
チャリをこぎ、坂道では脳が筋肉になりそう…なのをラジオの秀島史香がほぐした。
その夜、あつこからメールがきた。
「オムレツ食べに行けへん?」
こうした「想いが通じた」的な事は男女関係でなくともあるのね。
あつこは毎度ちゃんとお洒落して出て来てくれる。
気分が華やぐ。
